『ナワバリ アユ』はなぜ黄色い?

友釣りで釣ったばかりの鮎は、「まっ黄色!」と叫びたくなるほど黄色みが強いことがあります。

胸の黄斑だけではなく、ヒレの縁辺りまでもが黄色に染まる。東部の黄斑がはちまきを巻いたように見える鮎さえいます。

こういった体表の黄色は、ナワバリアユのトレードマークのように思われてきました。

しかし、鮎のナワバリと体色の黄色は必ずしも関係はないようです。

というのも、全く攻撃行動をしないのに黄色い鮎を見かけることがあるし、まれにではあるが、まっ黄色な鮎が群がって仲良くエサを食べていることもあります。皆さんの中にも「入れ掛かり」なのに釣れる鮎は黄色くないという経験をされた方がいるのではないでしょうか。

では、鮎はなぜ黄色くなるのでしょうか?

京都薬科大におられた松野先生によると、鮎の体表の黄色はゼアキサンチンというカロテノイド系の色素に由来している。

この色素はコケ(付着藻類)に含まれていて、鮎が食べることで体内に取り込まれ、体表に黄色みが出ます。

興味深いことに、このゼアキサンチンは、コケのなかでもラン藻に含まれていて、鮎の主食のように言われるケイ藻には全く含まれていません。

ケイ藻ばかり食べている鮎は、黄色くならないのです。鮎の主食はケイ藻とよく言われますが、むしろ主食はラン藻と言う方が正解でしょう。

それはともかく、黄色みが強いナワバリ鮎は、ラン藻を沢山食べているということになるのです。何故なのでしょうか?

この仕組みを中央水産研究所の阿部さんらが解き明かしています。

阿部さんらによると、鮎がいない状態では、川の石の表面にはケイ藻が多いのだが、鮎がコケを食べ始めるとケイ藻は減少し、かわって糸状のラン藻の群落へと変化する。

ケイ藻は鮎に食べられると急激に少なくなるのに対して、ラン藻はむしろ増殖スピードが上がるために、ラン藻が選択的に残るのである。ナワバリ鮎は一定の場所のコケを食べるので、ナワバリ内はラン藻が選択的に残るのである。ナワバリア鮎は一定の場所のコケを食べるので、ナワバリ内はラン藻の卓越したエサ場になりやすい。その為ラン藻に含まれるゼアキサンチンを多く取ることになり、結果として体表の黄色みが強くなるのだそうです。

おまけにラン藻は、ケイ藻に比べてたんぱく質の含有量が多くカロリーも高いらしい。ナワバリ鮎の成長が良いのは、単にエサを独占している為ではなくて、エサの質が良いことも関係しているのかもしれません。

さらに付け加えると、鮎は黄色を識別する能力に優れています。ナワバリ鮎が黄色くなることで識別が容易になり、ナワバリ鮎同士の無用な喧嘩を避けることができるし、群れ鮎の侵入を防ぐことにも役立つと言われています。こう考えると、ナワバリ鮎が黄色くなることは、鮎にとってはやはり意味があります。鮎の体色ひとつにも、自然の合理性が隠されているのです。

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